奈良県桜井市で吉田智樹ちゃん(5)が餓死した事件で、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された母親のパート店員真朱(まみ)容疑者(26)が、約3年前から智樹ちゃんを同市内に住む祖父母に会わせないなど、ほとんど外出させていなかったことが、捜査関係者への取材でわかった。
この頃に、夫の会社員博容疑者(35)の借金が発覚、夫婦仲が冷え込んで、智樹ちゃんの顔を殴ったり、つねったりするなどの暴力を振るい始めたという。
県警は真朱容疑者が虐待の事実の発覚を恐れ、智樹ちゃんを自宅に閉じこめていたとみている。
捜査関係者によると、真朱容疑者は、2006年12月に妹(3)が生まれるまでは、週1回程度、智樹ちゃんを連れて実家に遊びに行っていた。
しかしその後は、智樹ちゃんを祖父母に会わせることはなく、「智樹は夫と仲がいい。夫と遊んでいる」などとごまかして、実家を訪れる際には妹だけを連れて行ったという。祖父母が自宅を訪れても部屋に入れず、智樹ちゃんと会わせないようにしていた。
また、智樹ちゃんの姿を見ないことを心配した知り合いの主婦に対しては、「夫が家で仕事をしているので智樹の面倒をみてくれる」「智樹はおとなしく、みんなの輪に入りにくい」などと説明していたという。
一方、真朱容疑者は、「約3年前に、親類の連帯保証人になっていた夫の借金が100万円ほどあることを知り、夫婦仲が冷めた」と供述していることがわかった。「智樹が夫に似ているために憎らしく、反抗的態度も取ることがあったため、不満のはけ口として虐待を始めた」などとも話している。県警は、夫婦の不仲など複数の要因が引き金になり、智樹ちゃんへの虐待がエスカレートしたとみている。
県警は5日午前、真朱、博両容疑者を奈良地検に送致した。
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